ウナギの想いを探る野尻湖シンポジウム盛会でした
7月12日(土)午後に信濃町の後援の下に、野尻湖に絶滅危惧種ニホンウナギが生息していることに注目した 「ウナギの想いを探る野尻湖シンポジウム」 を、大学村創立60周年記念事業の一環として開催しましした。当日は、すでに夏に入った土曜日の午後のために仕事や行事で参加できないとの返信が相次ぎ、どれくらい参加していただけるか心配していましたが、予想を超える盛会となり、二ホンウナギを巡る多様な意見を活発に交換する場となりました。
80名を超える皆さんが熱心にウナギを保全する意味を考える
信濃町の町民30数名、大学村から10数名、信濃町外(大半は県外)から30数名の皆さんに参加いただきました。講演者のお一人は福岡県から、その他、兵庫県、大阪府、奈良県、京都府、滋賀県、愛知県、福井県、富山県、神奈川県、東京都、千葉県、茨城県など遠路からの参加者にも恵まれ、土用の丑の日を控え、ウナギへの関心の高さを改めて実感しました。
九州では高校生がウナギの稚魚を育て、森里海のつながりを整える
話題1は、福岡県みやま市の県立山門高校の木庭慎治先生が、高校生を指導し、地元の矢部川で捕獲した(特別採捕の許可を得て)シラスウナギを水槽で飼育し、10㎝前後の稚魚(クロコ)に育て、身の回りの川や掘割などに放流して、成果を上げている様子を紹介いただきました。当初は病気などで死亡するクロコが多く苦労した壁を、水槽の底にクスノキの枯葉を敷き詰めることにより乗り越えるなどの画期的な成果が注目されました。さらに、クロコが元気に育つためには川の環境をよくすることが必要だと、上流の森の手入れにまで活動の場を広げる様子を紹介いただき、大きな驚きと感動をまし受けました。
ニホンウナギは東アジア全体で保全する必要がある
話題2は、長野県上田市にある長野大学淡水生物学研究所長の箱山洋先生に
ウナギの産卵回遊(川や湖で育ったウナギが子孫を残すために、成熟し始めると川を下り海に出て、生まれ故郷のフィリピン東方のマリアナ海域の海山周辺に戻って、産卵する)について興味深い話を提供いただきました。日本各地、中国や韓国沿岸などから数千キロメートル以上も離れた遠くの海に、何を手掛かりに戻ることができるのか、その経路やその間の行動の解明に挑戦されています。野尻湖で1㎏を越えるような大きなウナギが捕獲されたら、背中に発信機をつけて新潟の海に放すと、産卵場へ帰る道を明らかにできるかもしれないとの夢を膨らませる話題提供をいただきました。
野尻湖の水を汲んで詳しく分析するとウナギの居場所がわかる
三つ目の話題は、今注目の環境DNA分析手法の紹介です。二ホンウナギのみならず一緒に暮す魚類の生息状況がわかるという優れものです。この手法の有効性や問題点などについて、国立環境研究所の亀山哲主幹研究員にお話しいただきました。ニホンウナギは産卵場により近い太平洋側が日本海側より多く分布することや、縄文時代の遺跡から出るウナギの骨(縄文人が食していた)の分布と現在のウナギの分布がよく一致することなどの興味深い話をしていただきました。今後、野尻湖でも子供たちと一緒に水を汲み、専門の分析機関で詳しい分析をしたもらうと、野尻湖のウナギの分布がわかり、その保全の道を開くことができるとの期待を膨らませていただきました。
三人の演者からの話題提供に相次ぐ質問や意見が出ました
なぜ二ホンウナギか?、なぜ野尻湖か?という二つの問題とも関り、多くの質問や意見が出され、会場は大いに盛り上がりました。ニホンウナギが絶滅危惧種になっていることを知らなかった、なぜニホンウナギは成熟すると遠い南の海に戻って産卵するのか、野尻湖のウナギはどこから来るのか、など今後につながる多くの問題が出されました。改めてウナギの存在感、そして野尻湖は生き物を通じて海と深くつながっている(自然は多様につながっている)ことへの認識を深める場とともなりました。
シンポジウムに参加した小中学生の感想
シンポジウムには4,5名の小学生や中学生も参加してくれました。その中の一人から 「今日のウナギの話、すごくおもしろかった」 との感想が漏れ聞こえてきました。こうした生徒さんが、今後野尻湖のウナギの生態を調べてくれるといいなと思いました。将来、信濃町からウナギの研究者が誕生するかもしれないとの期待も膨らみました。
大学村見学会に20名の皆さんが参加
長野県外から多くの皆さんに参加いただいたので、急遽 「大学村見学会」 を開きました。予想を大きく超えて20名以上の皆さんに来ていただき、木村理事長と加賀実さん(前森林委員会副委員長)が大学村の概要を紹介、A地区を中心に案内していただきました。皆さんに大きな関心を寄せていただく機会となりました。新たな村民が生まれるかもしれないとの期待が膨らみました。
